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GXとは?注目される理由や企業が取り組むメリット、実践事例を紹介

公開日:2026.03.27

GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石燃料からクリーンエネルギーに移行しつつ、経済成長やエネルギー安定供給の実現を目指す構造転換のことです。GXが注目されている理由や、企業が取り組むメリットをまとめました。GX推進に向けた5社の実践事例とともに紹介します。

GXとは?注目される理由、企業が取り組むメリット、実践事例

2015年9月に国連サミットにて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されて以来、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが活発化しています。GX(グリーントランスフォーメーション)もそのうちの1つです。

本記事では、GXと脱炭素・カーボンニュートラルとの関わりや、GXが注目されている理由、企業が取り組むメリットについてわかりやすく解説しています。企業におけるGX推進に向けた実践事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

GX(グリーントランスフォーメーション)とは

はじめにGXとは何か、日本におけるエネルギー事情の実態や脱炭素・カーボンニュートラルとの関わりといった視点から整理しておきましょう。

化石燃料からクリーンエネルギーへの移行を目指す活動

GXとは、石油・石炭・天然ガスといった温室効果ガスの発生を伴う化石燃料から、太陽光や風力、水力といった再生可能エネルギーへの転換を図る活動の総称です。単に温室効果ガスの削減を図るのではなく、経済成長やエネルギー安定供給の両立を目指している点に特徴があります。単に環境対策を強化する発想にとどまらず、持続可能な社会への構造転換を志向している点が「トランスフォーメーション(変革)」と呼ばれている所以です。

日本におけるエネルギー事情の実態

GXは世界的な潮流ですが、日本にはGXを推進するべき重要な事情があります。日本はエネルギーの約9割を輸入に頼っているのが実情です。一次エネルギー(化石燃料+再生可能エネルギー+原子力)の自給率は12.6%にとどまっており、このうち化石燃料への依存度は83.5%にものぼります。具体的には、原油の99.7%、天然ガスの97.8%、石炭の99.7%を海外から輸入しているのです。

GX推進は、日本国内でエネルギー供給を完結できる仕組みを築く上で重要な取り組みともいえます。日本のエネルギー事情を鑑みても、GX推進は喫緊の課題といえるでしょう。

参考:資源エネルギー庁|日本のエネルギー自給率は1割ってホント?

脱炭素・カーボンニュートラルとの関わり

脱炭素とは、温室効果ガスのうちCO2に焦点を合わせ、CO2排出量ゼロを目指す取り組みのことです。この取り組みの一環として、カーボンニュートラルが挙げられます。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と、植林や森林管理による温室効果ガスの吸収量の差を実質的にゼロにするための取り組みのことです。

国は2020年に「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」と宣言しました。脱炭素やカーボンニュートラルを実現するための手段として、GXの概念が登場したのです。

GXが注目されている主な理由

GXが世界的に注目されている背景には、主に4つの理由があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 環境保全の気運が高まっている

1つめの理由は、環境保全が国際的な関心事となっていることです。地球温暖化がもたらすといわれる気象災害リスクの上昇を抑えるには、温室効果ガスの削減を図る必要があると考えられています。猛暑や豪雨といった気象災害が、人々の安全や健康に甚大な被害を及ぼすケースも少なくありません。環境保全への能動的な取り組みを通じて、こうしたリスクを低減していくことが求められています

2. 化石燃料の価格が高騰している

世界情勢の変化に伴い、化石燃料の取引価格が高騰し続けていることも一因です。原油や天然ガス、石炭といった化石燃料の取引価格は、需給バランスや為替変動、世界情勢などに応じて決まります。たとえば原油は国際的な指標価格に連動しており、LNG(液化天然ガス)は原油価格に連動して決まるのが基本的な仕組みです。エネルギーコストを削減しつつ、安定的なエネルギー供給を実現する上で、GXは有力な対策となり得ます。

3. 国際的な気運の高まりと国の政策方針

温室効果ガス削減の気運が国際的に高まっていることも重要な理由の1つです。欧州が排出量取引制度やグリーンディール、欧州気候法を打ち出したことを契機に、世界各国で脱炭素やカーボンニュートラルの実現に向けた動きが活発化しました。

日本にもこの動きは波及しています。日本政府は2030年度までに温室効果ガスを2013年度比46%、さらに50%の高みを目指す野心的な目標を掲げています。国がこうした政策方針を掲げていることも、GXへの関心が高まっている要因といえるでしょう。

4. 事業成長の重要な柱となりつつある

環境への取り組みが、企業にとって事業成長の重要な柱となりつつあることも理由の1つです。Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の視点に立ったESG投資が注目されるようになり、環境への取り組みは投資を呼び込む上で欠かせない要素となりつつあります。

とくに上場企業に関しては、2023年3月期決算より有価証券報告書等に「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設され、開示が義務づけられました。GX推進は、ステークホルダーの評価を高め、資金調達をより有利にするための取り組みといえるでしょう。さらに、GXを起点とした新たな事業機会の創出も期待されています。

企業がGXに取り組むメリット

ここまで、社会全体から見た場合のGXの重要性について解説してきました。では、企業がGXに取り組むことでどのようなメリットを得られるのでしょうか。

メリット1:企業の社会的責任を果たすことにつながる

1つめのメリットは、企業の社会的責任を果たせることです。産業由来のCO2排出量削減は、脱炭素目標を達成するための重要な課題となっています。利益の追求にとどまらず、社会貢献を意識した経営を目指す上で看過できない課題です。

環境問題は誰もが当事者となり得る社会的課題です。同時に、持続可能な社会を実現するために解決が急務となっている課題でもあります。GXを積極的に推進することで、社会の一員としていっそう認められる企業へと成長を遂げられるでしょう。

メリット2:コスト削減効果が期待できる

GX推進の取り組みは、結果としてコスト削減につながります。現状の燃料費高騰への有効な対策となるだけでなく、将来的にさらなる価格高騰のリスクに備えるための方策にもなり得るでしょう。

生産量を減らすことなく事業コストを削減できれば、利益をいっそう確保しやすい体制づくりが実現します。より高収益体質の組織へと成長できる可能性があることは、企業がGXに取り組むメリットの1つです。

メリット3:企業イメージが向上する

GXへの積極的な取り組みは、企業イメージの向上にも寄与します。投資家をはじめ、従業員や消費者が企業に対して好印象を抱く要素となる可能性があるからです。

環境対策に前向きな企業は資金調達の面で有利になりやすいほか、人材採用においても優秀な人材が集まりやすくなる効果が期待できます。業界内で先陣を切ってGXに取り組めば、競合他社との差別化要因にもなり得るでしょう。

メリット4:事業成長や新たな事業機会の創出につながる

GXは事業成長や事業機会の創出にもつながる可能性があります。投資家や金融機関の評価が高まり、事業成長を支える資金調達において有利になる可能性があるからです。J-クレジット制度をはじめ、GXを後押しする国や自治体の制度を活用できるケースもあるでしょう。

さらに、既存事業を再生可能エネルギー前提のビジネスモデルに転換することで、新たな付加価値が創出されることも期待できます。たとえば、再生可能エネルギーを利用して製造されている商品であることを前面に打ち出せば、環境意識の高い消費者への訴求効果を強化できるでしょう。このように、GXの取り組みを既存事業の成長や新たな事業づくりにつなげることも可能です。

企業におけるGX推進に向けた実践事例

近年、多くの企業がGX推進に取り組んでいます。ここでは5社の実践事例を例に挙げて、GXの具体的な取り組みを見ていきましょう。

事例1:温室効果ガス排出量の可視化

IoTセンサーを活用し、設備機械ごとのエネルギー消費量を計測する仕組みを確立した事例です。設備機器に取り付けたセンサーと環境データ分析ソフトウェアを駆使し、温室効果ガス排出量を数値で把握できるようにしました。これにより、行政や金融機関から排出量の状況について開示を求められたときや、規制への対応状況を確認したいときなどに迅速な対応が可能になっています。温室効果ガス排出量の可視化は、GXの取り組みに欠かせないプロセスといえるでしょう。

事例2:省エネ設備の導入

事業所に省エネ設備を導入し、使用電力量の節減につなげた事例です。照明器具をLEDに交換したり、省エネ性能の高い空調機器を取り入れたりすることで、消費電力を抑えました。また、社用車の一部をEV化することにより、ガソリンの使用量を抑え、温室効果ガスの発生量を抑制しています。

導入する設備によっては、国や自治体の補助金・助成金を活用できる場合もあります。事業所の照明や空調設備は日常的に使用するため、無理なく継続的にCO2排出量抑制効果を得られる施策といえるでしょう。

事例3:再生可能エネルギーの活用

再生可能エネルギーを積極的に活用し、GX推進に役立てている事例です。オフィスや工場、倉庫の屋根のほか、遊休地などに太陽光パネルを設置し、太陽光発電を活用しています。これにより、エネルギーコストの削減につながるだけでなく、緊急時の電源として活用できる点がメリットです。

新たな設備等の導入が難しい場合は、電力小売事業者が提供している再エネプランに切り替える方法もあります。大規模な設備投資を今すぐに行う予定がない事業者様にとって、より手軽に再生可能エネルギーを活用できる方法といえるでしょう。

事例4:環境負荷の少ない原材料への切り替え

製品の製造に使用する原材料を、環境負荷の少ないものに切り替えた事例です。原材料の選定や改良・開発に取り組むことで、製品の使用時・廃棄時に発生する温室効果ガスの削減につながっています。

市場に供給される製品は、製造時や使用時だけでなく廃棄時にも温室効果ガスを排出する可能性があります。廃棄時排出量削減につながるエコサイクルの確立は、製造企業にとって検討しておくべき課題の1つといえるでしょう。

事例5:持続可能な社会に貢献する商品の開発

持続可能な社会に貢献する独自の商品を開発した事例です。国内の余剰木質繊維を使用したマグカップを開発・提供し、使い捨てプラスチックカップの削減に貢献しています。

こうしたエコ商品の提供は、競合他社との差別化につながるほか、ブランド価値の向上にも寄与します。持続可能性を重視する顧客層の支持を得ることで、より能動的に消費者から「選ばれる」商品として認知度が高まっていく可能性があるからです。

GX推進に向けて自社ができることから始めよう

GX推進は持続可能な社会の実現に向けて不可欠な取り組みといえます。企業にとってコスト削減効果を得られるだけでなく、企業の社会的責任を果たすことにもつながるでしょう。さらに、企業イメージの向上や新たな事業機会の創出にも寄与する可能性がある取り組みです。自社の事業内容と親和性の高いGX戦略とは何か、どのような取り組みができるか検討してみてはいかがでしょうか。

エイジェックグループでは、環境事業ポータル「GXソリューション」を提供しています。脱炭素経営推進セミナーをはじめ、サステナビリティ経営に向けたGXアドバイザリーサービス、化学物質情報管理支援サービスなど、お客様のご要望に応じた支援が可能です。環境問題や脱炭素化に関する知識を学び、ビジネスや日常生活で活かせるスキルを身につける「グリーンマイスター検定」など、従業員の皆さまの知見・スキル向上に役立つ資格試験もご利用いただけます。GX推進に向けた取り組みにご関心のある事業者様は、ぜひエイジェックグループにご相談ください。

エイジェック環境事業ポータルGXソリューション