お問い合わせ

コラム Column

労働衛生法改正(化学物質管理)のポイント

公開日:2026.03.27

2026年~2027年にかけて、改正労働安全衛生法が段階的に施行されます。主な改正内容と法改正の影響を受けやすい企業の特徴をまとめました。労働安全衛生法改正に向けて、企業が取り組むべきこととあわせて解説しています。

労働衛生法改正化学物質管理のポイント

労働安全衛生法(安衛法)は、労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を維持することを目的として定められている法律です。2026年~2027年にかけて、改正労働安全衛生法が段階的に施行されます。

本記事では、労働安全衛生法が改正されてきた経緯や2026年の改正内容、影響を受けやすい企業の特徴をわかりやすく解説しています。法改正に向けて企業がやるべきこともまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

労働安全衛生法改正の経緯

労働安全衛生法は、これまでにも改正が重ねられてきた法律です。改正の経緯と直近の主な改正点、2026年改正のポイントを確認しておきましょう。

労働安全衛生法が改正されてきた理由

労働安全衛生法は1972年に制定されて以来、働く人々の安全と健康を守る観点から、社会の変化に応じて改正が重ねられてきました。

社会の変化の一例として、化学物質による健康障害の増加や長時間労働に伴うメンタルヘルスの不調、雇用形態の多様化などが挙げられます。労働災害を防止し、健康管理体制を構築するには、法律を社会の実態に合わせていかなくてはなりません。50年以上にわたって同法の改正が重ねられてきた背景には、社会構造や働き方の移り変わりがあったのです。

2024年度・2025年度の主な改正点

労働安全衛生法は、2024年度・2025年度にもそれぞれ改正されています。各年度の主な改正点は次のとおりです。

2024年度

2024年度には化学物質の管理体系の見直しや、化学物質管理者、保護具着用責任者の選任義務化がなされました。また、SDS(安全データシート)への通知対象物質が追加されたほか、含有量表示の適正化が図られました。

2025年度

2025年度には危険箇所等における退避や立入禁止等の措置が講じられる対象範囲が拡大されました。また、一人親方や下請業者に対する保護具の使用や作業手順の周知が義務づけられています。さらに、熱中症による労働災害が増加傾向にあったことから、熱中症対策が強化されたことも重要なポイントの1つです。

2024年度・2025年度の改正にはルールが形骸化することのないよう、体制づくりを強化する狙いがあります。

2026年改正のポイントは「実効性」と「記録管理」

2026年改正の重要なポイントは「実効性」と「記録管理」です。法令を形式上守っているかどうかではなく、実効性のあるリスクアセスメントがなされているか、測定/評価/是正プロセスが明確に記録され、実際に改善されているかどうかが重視されています。

前述のとおり、労働安全衛生法は労働者の安全と健康を守ることを目的とする法律です。つまり、法律の本来の目的が現場できちんと達成されるようにするための改正といえるでしょう。

2026年改正は段階的に施行

労働安全衛生法の2026年改正は、いくつかの段階にわたって施行されます。各時期に施行される事項は次のとおりです。

2026年1月1日施行

・特定自主検査及び技能講習の不正防止対策の強化
フォークリフトなどに義務づけられている特定自主検査の基準を定め、登録検査業者は基準に従って検査を行うよう定められました。また、運転業務に必要な技能講習に関しては、技能講習修了証を不正に交付した場合の回収命令や欠格期間の延長が規定されています。

2026年4月1日施行

・混在作業場所における元方事業者等への措置義務対象の拡大
混在作業場所において講ずるべき指導や連絡調整等の措置が、個人事業者を含む作業従事者に拡大されました。

・営業秘密である成分に係る代替化学品名等の通知
企業の営業秘密情報が含まれる場合、有害性が相対的に低い化学物質に限り、代替化学名等での通知が認められます。ただし、代替化学名等による通知をした場合には、実際の成分名等の情報を記録・保存することが義務づけられます。

・特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し
ボイラーやクレーンなどの特定機械等に義務づけられている製造許可や製造時検査を、登録を受けた民間機関が実施できるようになります。

・高年齢労働者の労働災害防止の推進
高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善や作業管理など、必要な措置を講じることが事業者の努力義務となります。

2026年10月1日施行

・個人ばく露測定の精度担保(有資格者による作業環境測定基準に則った測定の義務化)
危険有害な化学物質を取り扱う作業環境において、個人ばく露測定が作業環境測定の一部として位置づけられました。測定時には有資格者が作業環境測定基準に従って実施することが義務づけられます。

2027年1月1日施行

・業務上災害報告制度の創設
個人事業者等の業務上災害が発生した際に、災害発生状況などを厚生労働省へ報告させることが可能になります。

2027年4月1日施行

・個人事業者等自身への義務付け
労働者と同一の場所で作業を行う場合、個人事業者等に安全装置を具備しない機械などの使用を禁止するほか、特定の機械などの定期自主検査の実施、危険・有害な業務に就く際の安全衛生教育の受講などが義務づけられます。

・作業場所管理事業者への連絡調整措置の義務付け
危険・有害な作業を行う場合に、災害防止の観点から作業間の連絡調整等の必要な措置を講じるよう義務づけられました。

法改正の影響を受けやすい企業の特徴

労働安全衛生法は基本的にすべての事業者が対象となる法律です。一方で、特に法改正の影響を受けやすい企業が存在します。次の3点のうちいずれかの特徴に当てはまる企業に関しては、特に重点的な対策が求められるでしょう。

1. 有害物質や危険物を扱う事業を営んでいる企業

有害物質や危険物を取り扱う企業は、法改正の影響を強く受ける可能性が高いと考えられます。労働安全衛生法は、これまでも化学物質の管理体制や実効性のある測定/評価/是正プロセスを重視して改正が行われてきました。2026年度改正においても、化学物質の取り扱いは重要なポイントの1つといえます。

まずは自社が扱っている化学物質のうち、法改正の対象となる物質および作業環境測定法を洗い出しておく必要があります。そのうえで、法令が定める基準を満たすよう管理方法や測定方法を見直していくことが重要です。

2. 個人事業主が現場で就業している企業

個人事業主が現場で就業している企業に関しても、法改正が深く関わる可能性があります。2026年度改正では、正規労働者だけでなく個人事業者も含めた労働安全管理が求められるようになるからです。個人事業主と請負契約等を締結している企業では、災害防止措置を講じるとともに、各種規程の見直しを図る必要があるでしょう。

3. 高年齢労働者を雇用/再雇用する企業

2026年4月1日以降、高年齢労働者を対象とした労働災害防止策の推進が強化されます。高年齢労働者を雇用している企業や、今後雇用する予定のある企業は、作業環境改善および作業管理などの措置が講じられているか、改めて確認しておくことが大切です。

高年齢労働者は、加齢に伴って身体機能や認知機能が変化する可能性があります。身体機能を補うパワーアシストスーツやリフト等の設備導入、年齢に応じた定期健康診断・生活習慣病対策強化などを検討してみてはいかがでしょうか。

労働安全衛生法改正に向けて企業がやるべきこと

労働安全衛生法改正に向けて、具体的にどのような取り組みが企業に求められるのでしょうか。特に注力しておきたい4つのポイントを紹介します。

リスクアセスメントの仕組みを構築する

リスクアセスメントの仕組み化は、2026年改正の重要なポイントの1つです。改正の対象となる化学物質や作業環境を整理し、施行日ごとに対応スケジュールを策定しておくことをおすすめします。

なお、ISO 9001やISO 14001をすでに取得している企業に関しても、「ISOにおける要求事項」と「労働安全衛生法上の製品含有化学物質管理で求められる内容」が、必ずしも一致しているとは限らない点に注意が必要です。

測定/評価/是正履歴の可視化・一元化

各種測定・評価・是正がいつどのようにして行われ、どういった結果がもたらされたのか、後から遡って確認できる状態にしておく必要があります。特に紙ベースの管理表やExcelの管理表で運用している場合は、化学物質管理ソフトウェアなどを活用して管理する仕組みへと移行するのが望ましいでしょう。

前述のとおり、2026年改正では形式上管理しているかどうかではなく、実効性のある記録管理がなされているかどうかが重視されています。情報の可視化・一元化を図るための具体的な対策を講じるという意味でも、専用システムを活用するのが得策です。

安全衛生管理の属人化防止策を講じる

安全衛生管理を特定の担当者任せにしないことも重要なポイントです。工程の標準化を図るとともに、どのような作業が発生するのか、作業の手順も含めて可視化していく必要があります。

状況によっては、外部事業者の製造工程改善支援サービスなどを活用する方法もあります。属人化防止策を講じることは労働者の安全確保につながるだけでなく、工程上のムリ・ムダ・ムラの改善を図る意味においても効果的です。

継続的な従業員教育の実施

労働上の安全衛生意識を高めるための従業員教育を、継続的に実施していくことも大切です。実効性のあるリスクアセスメントを着実に実現するには、管理者だけでなく実作業を担う現場担当者の意識を高めていく必要があります。

一例として、研修や講習の機会を設けるほか、基本ルールの点検を定期的に行うのが望ましいでしょう。また、現場からボトムアップで課題が報告される風土づくりも重要です。ヒヤリハットの事例や作業上の懸念点を各担当者が積極的に報告しやすいよう、従業員が主体となって発言できる場を設けたり、アンケート調査などを実施したりすることをおすすめします。

労働安全衛生法改正への対応はキャリアパートナーズにお任せください

労働安全衛生法は社会の変化に応じて改定されていくため、改正点を都度正確に把握した上で自社に求められる対応を判断する必要があります。2026年~2027年は数段階に分けて改正法が施行されることから、いつまでにどのような措置を講じるべきかを整理し、抜け漏れのないよう計画的に対応していくことが大切です。

エイジェックのグループ会社であるキャリアパートナーズでは、製造・品質管理を支援する製品含有化学物質・監査代行や化学物質管理サービスをはじめ、環境報告書作成代行、ISO9001 認証取得支援、製造工程改善支援、製品解析・診断業務代行サービス、製品含有化学物質管理個別コンサルティング、化学物質管理ソフトウェアEnMaなどを提供しています。労働安全衛生法改正への対応にお困りの事業者様は、ぜひキャリアパートナーズにご相談ください。

● 安全衛生・EHSマネジメント | 株式会社キャリアパートナーズ >>

● 製品含有化学物質管理 | 株式会社キャリアパートナーズ >>